還らざる日々〜last〜-18
「じゃあ一生、またいつかね」
「ああ、またな…」
だが、お互いに〈もう逢う事はない〉と悟っていた。
一生はキッチンに行くと冷蔵庫から缶ビールを取り出した。
夕食の仕度をしている母親が〈何の電話だったの?〉と、忙しく動きながら聞いてきた。
缶ビールのフタを開け、グッとひと口飲んだ。
そして、白い歯を見せると母親に言った。
「なぁに!オレが最高の女を逃したって事さ」
…『還らざる日々』完…