還らざる日々〜last〜-12
2人がバーを出たのは11時過ぎだった。
ビルから〇〇道路へと進むが黙ったままだ。タクシー乗り場が近づいてくる。
「帰るか…」
聡美の手を引いてタクシー乗り場に行こうとする。が、彼女は歩みを止めた。
不思議に思い、一生は彼女を見つめる。彼女はただ頭を振った。
一生は彼女の耳元で囁いた。
「わかった。行こう」
彼女は一生の腕に絡みつくようにして歩き出した。
互いの激しい愛撫が続く。ホテルに入る前から、気持ちは互いを欲していた。
一生は聡美を、聡美は一生の身体を忘れまいと隅々までキスをし、舐め味わう。
一生は我慢出来なくなり、くわえた彼女の口を離そうとした。
だが、彼女は離れずなおも続ける。うめくような声の後、一生は彼女の口中に放出した。
聡美はそれを必死に飲み下した。
「オマエ…」
聡美は哀し気な笑顔を向ける。
「明日の朝まで…私、自由だから…」
彼女の脚を開き、一生の身体が割って入る。
彼のモノがゆっくりと聡美の膣内を押し広げながら入っていく。
聡美はうめき声を上げた。
ゆっくりと、腰が前後に動き出す。その度に彼女の甘い声が漏れ聞こえだした。
眉根を寄せて悦びに耐える聡美の表情を見ながら、一生は改めて彼女に愛しさを感じた。
一生の腰の動きが、速く滑らかになる。息も荒くなってきた。
動きに合わせるように聡美の声が高く、速くなる。彼女が一生の身体にしがみつく。
さらに一生の動きが速める。聡美は苦悶の表情で声を上げた。
その直後、一生は聡美の腹上にぶちまけた。
痺れるような快感の余韻に浸りながら、2人はしばらく動けなかった。
───
翌日。ホテル内の喫茶店で朝食を摂った2人は、早々に空港のカウンターへと向かった。
搭乗まで、後20分だ。
ベンチに腰掛け、時間を待つ。終始無言のまま、2人で熱い缶コーヒーを飲んでいた。
すると突然、聡美は立ち上がり、一生に手を差し出した。
「カズオ、握手して!」
一生は飲んでいたコーヒーが気管に入ったのか、大きくむせる。
「どうしたんだ…突然に?」
聡美は、何かふっ切れたのか晴々とした表情だ。