還らざる日々Ⅱ-9
その日から彼の献身的な看護が始まった。
しかし、運命は変える事が出来ない。
彼女は少しづつ死へと向かって行く。彼にはどうする事も出来ない。ただ彼女の頬を撫でるしか…
聡美は涙を流し嗚咽を上げている。一生も彼女を抱く腕に力が入っていた。
彼女は病院のベッドに横たわり酸素マスクをしている。手足は骨に皮が貼り付いたように痩せ、息づかいも荒い。
医師は彼女の脈を見ながら彼に首を振った。
意識が朦朧とする中、彼女は手を伸ばす。彼は両手でそれを優しく包む。
彼女は彼を見ながら唇を動かすが言葉にならない。
やがて目を閉じると握られた手から力が抜けて、やがて止まった。彼女の最期だった。
彼以外、誰にも見看られる事無く、彼女は天に召されていった。
彼は彼女の胸に顔をうずめて子供のように泣きじゃくる。
画面にエンド・ロールが流れる。
聡美のうなじにくちづけをする一生。後からまわした手が、彼女のシャツをたくし上げる。
「…ま、待って…」
向き合い、聡美は一生のシャツに手を掛けると引き上げて一気に脱がせた。
互いの視線が重なり合う。
その瞳には〈愛し合いたい〉という欲求を映していた。
「きて……」
一生は聡美の膣内へと入る。別れが迫っている思いが、互いを求める気持ちを高めていく。
彼のモノが入った。身体の中から押される感覚に、痛みにも似た快感が走り抜け、聡美はのけぞった。
途端に彼の背中に手をまわし、荒い息遣いに変わった。
始めはゆっくりと。そして、徐々に早くグラインドを繰り返す一生。彼女の膣内は熱くなり、快感に激しくなっていく。
聡美も身体を大きく揺すられながら、すすり泣くような甘い声を上げていた。
いつもより気持ちの昂ぶりが、快感を増し、互いの身体はさらに激しくぶつかり合う。
彼女の息遣いも、動きに合わせて速く、短く変わる。
「…ハァ…アッ！…もうダメだ！…いいか！」
一生は懇願する。
「…あぁ！…い…いいよ！…」
聡美の声に、一生は小刻みな動きに変わったかと思うと、獣のような叫び声を上げて、彼女の腹上に射精した。
痛みが脳天を突き抜けたような快感が走る。
一生は布団に倒れ込んで動かなくなった。
２人共、早い息遣いを繰り返し、しばらく横たわっていた。
一生は聡美の髪を撫でながら彼女と唇を重ねる。
口の中へ舌を滑り込ませ、彼女と舌を絡める。
聡美も彼の中へと舌を入れる。一生はそれを受けとめ、彼女の舌を吸った。お互いの唾液をすすり舐める。
やがて一生は聡美の乳房に吸い付いた。
彼女は半身を反らせ、切なげな声を上げる。再び〈求める心〉が頭をもたげ始めた。
彼のモノも熱を帯び、硬さを取り戻してきた。