投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

アイドルヲタですけど何か?
【青春 恋愛小説】

アイドルヲタですけど何か?の最初へ アイドルヲタですけど何か? 4 アイドルヲタですけど何か? 6 アイドルヲタですけど何か?の最後へ

アイドルヲタですけど何か?-5

「─コンニチワ」

長嶋の姿を探すと、1番奥の席に座っていた。私はわざとらしい挨拶をして隣に座る。

こうして近くで改めて見ると、意外にも体つきはよく、容姿も悪くない。むしろ、寡黙な性格を直せばもてるんじゃないかと思う。

「あぁ、…で、何だったっけ」

長嶋は私に気がつくと、そんなことを言ってきた。



とぼけやがって。



「朝のこと、呼び出したのは長嶋君でしょう?」

すると彼は「あぁ」なんて今思い出したかのように言う。



「そうだったね、『ユリア』さん。まずは何から聞きたい?」

「何でその名前を知ってるのよ?あんた何者?」

勿論、会話は全て小声だ。誰かに聞かれたらマズい。

「知りたい?」

「当たり前」

すると、長嶋は少し考えた後、とんでもない言葉を口にした。





「『チサ』って知ってる?君の友達だよね?貴重なオタ仲間の」



「あんた…」

思わず声が震える。
さらに彼は自分の携帯を操作して、こちらに画面を見せてきた。



「これは誰でしょう?」



そこにいるのは私とチサさん。
ライブの日に2人で撮った、初めての写真。



「…外出よう」

私はそう切り出して席を立つ。

「いいよ、確か近くに教材室があるからそこででも」

長嶋は不気味な笑みを浮かべて私の後をついてきた。





「で、何であんたがそれを持っているのよ」

誰もいない社会科教材室の戸を閉めた後、彼を睨みつけて言う。でも長嶋は落ち着いたままだ。

「『チサ』の本名知ってる?」

「知らない」

知る必要はない。
私達はCREATORのオタクであり、彼らを愛している。私達の間にはこの気持ちだけで十分なのだ。


アイドルヲタですけど何か?の最初へ アイドルヲタですけど何か? 4 アイドルヲタですけど何か? 6 アイドルヲタですけど何か?の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前