7番目の月〜Ruby〜A-3
「…広人…」
「ここも…」
「ここも…」
「ここも…」
掌は胸やお腹、お尻や太腿を世話しなく這って、私の体温がどんどん上がっていく
「…全部、好き…」
きつく頭を胸に抱えられて囁かれた
「…はぁ……やっと言えた」
「え?…」
「…最初に言わなきゃならなかった事…俺、ガキの時からずうっと千華が…好きだった」
思わず見上げると広人の顔が真っ赤に染まっている
「…見んなよ」
頭を抱えられて又胸に収められた
「…女にこういう事言うの初めてなんだ…二週間もうじうじしてて…カッコ悪い…」
「広人…」
広人の体が少し震えている…意地悪なくせに酷く恥ずかしがり屋な所は変わってないんだ…
どきんどきん…高鳴る心臓が二個、ここにある
「あの日…千華に彼氏ができてデートに出かけてる、って千華のおふくろさんから聞いた途端、すげぇ焦って…ヤバい、早く何とかしなくちゃ、って…
気持ちを伝えようとしたけど、彼氏の為にめかしこんでる千華を見たら何だかもう…体が先に動いてた…」
「…どうして…もっと前に言ってくれなかったの…」
「うん……自信が無かったんだ…俺頭悪いだろ?
中学の時、必死で勉強してみた事も有ったけど、千華と同じ進学校に行ける筈もなくて…頑張ってもダメな自分が惨めになって…千華の事は諦めようと思った」
…知らなかった…広人がそんな事…
私は成績や学歴などに価値を持たず、我が道を行く様な広人が羨ましかったのに…
「同じ様なレベルの奴等と、つるんでチャらけてた方が楽だった…無駄に色んな女の子と寝たりして…そういうのがカッコ良いと思ってた」
中学を卒業してから、たまに見掛けていた私の知らない友達と楽しそうにしてた広人
いつも違う綺麗な女の子を連れていた広人
そんな広人を見ると、いつも何かが胸につかえる思いがあった…
「でも…結局千華の事は諦められずにいたんだ」
私は…
私は…自分が忘れ去られていく事が怖くて、傷付きたくなくて、広人への感情を意識から消していたんだ…
「それにさ…あんなにぶっ飛ぶくらい気持ち良いのは初めてだった…好き、っていう気持ちって凄いんだな…って」
掌がゆっくり太腿を這う…