やっぱすっきゃねん!Ulast-7
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冬休み最後の練習も終わり、明日から3日間は試験期間で休みとなる。
「何だか違う意味で疲れる…」
直也との帰り。佳代は思わず本音を漏らす。
「だったらオレ達にふれ。達也に淳も居る。下級生の面倒はオレ達の責任でもあるんだから…」
「…うん。ありがと…」
直也の申し出に頷く佳代。かすかに笑顔を浮かべた。
翌日の始業式、翌々日からの授業の後、佳代は帰宅すると試験勉強もそこそこに、走り込みや素振りに時間を割いていた。
それはまるで、溜ったストレスを吐き出すように。
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テスト当日。期末テストから日数が経っていないせいか、佳代は思いのほかよく出来た。
尚美と有理。3人で帰るのは終業式以来だ。
しかし、いつもは率先して喋ろうとする佳代は終始俯いていた。
「どうかしたの?」
その異変さに気づいた有理。
「…ごめん。ちょっと考え事してて」
言葉を濁し、ごまかす佳代。
「アンタが考え事なんて珍しいね。どうせ野球の事でしょ?」
茶化すように訊く尚美。
「まぁ、そんなトコかな…」
佳代は笑みを浮かべて答えているが、目は笑っていない。
2人はその異様さに言葉を失った。
「ち、ちょっと大丈夫?」
「佳代ちゃん。何かあったの?」
「ごめん。本当に何でもないの…本当に…」
佳代は校門から自転車に乗ると、さっさと帰ってしまった。
「有理…あのコ絶対おかしいよ。あんなとこ初めて見た…」
「うん。何だか、生気が感じられないような……」
2人は遠ざかる佳代を見つめて心配するが、彼女達にはどうする事も出来なかった。