やっぱすっきゃねん!Ulast-15
「コラッ。しっかり見るんじゃないの、いやらしいわね」
「…だって、一緒にお風呂入ってる時と、あまりにも違ったからさ…」
「当たり前でしょ。佳代は女の子なんだから」
(そういう意味じゃなくて、筋肉が凄かったんだけど…)
修は、それ以上言わなかった。
わずかな明かりの中、素振りを続ける佳代。
(どうもスムーズに振れない)
自身でも、その振りの異常さに気づいていた。
───
翌週土曜日。
「今日と明日、それと来週の土日でAB戦を行う。
その中から、さ来週から始める他校との練習試合のメンバーを選ぶ」
部員達に永井の言葉が響く。
「それじゃメンバーを発表する。まずAチーム。1番直也、2番達也、3番……」
次々と発表されていく。
「…8番久米、9番田畑、10番……」
(エッ?)
佳代は耳を疑った。まさかAチームのライトを年下の田畑が守るなんて。
周りもだが、田畑自身が驚いている。
「か、監督!」
田畑が手を上げた。
「なんだ?田畑」
「今のライトのポジションですが、間違いでは…?」
不安気に訊く田畑に、永井はにっこり笑って答える。
「いや…オマエだぞ」
そばで聞いていた佳代は俯き、唇を噛んだ。
(…なんで…私はあんなに努力してるのに…私が田畑に劣ってるの…)
固く握り締めた拳が、わずかに震えていた。
結局、佳代はBチームのライトとなった。
Aチームを永井、Bチームを葛城、主審を一哉、塁審を残った1年生で試合が開始された。
佳代は雪辱に燃えていた。
(こうなったら、活躍してAチームになってやる)
だが、この考えが間違いだった。
長打を打とうと上体に力が入って空振りしたり、ボール球を強引に打って凡打になっていた。