「溺れる」-1
あるところにきれいな魚が住んでいました
魚は美しいもの以外には興味がありませんでした
ある日、魚はとてもきれいな魚と出会いました
そして、一目でその魚が好きになってしまいました
毎日毎日、その魚のところに会いに行きました
しかし、魚は一度もこちらの呼びかけに答えてくれることはありませんでした
悲しくなった魚はその魚を壊すことにきめました
自分の手に入らないのなら、いっそのこと・・・と思ったのです
魚は何度も何度も体当たりを繰り返しました
何度も何度も
何度も何度も
薄れゆく意識の中で、魚は相手が自分にほほえみかけたような気がしました
後にはキラキラ光るガラスの破片と、傷だらけの魚だけが横たわっていました