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螺旋の邂逅
【ファンタジー 恋愛小説】

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螺旋の邂逅 vol.2-4

「……まぁ、そういうことだが…嫌か?」

その質問に私は、
「…しばらく考えさせてください。」
と、答えた。


本来なら、娘の意向など無視されてもおかしくないこの時代に、この男[ヒト]だけは違った。
しかし、この縁談…断ることなど出来ないと、私はわかっていた。

それに、私の中でも、ラティはこの時代には居ない…そんな気が日増しに強くなっていた……。


約三週間後 梅の花が咲きはじめた頃

「姫さま、春宮さまより御文が…。」
あれから春宮からは実名で文が届くようになっていた。
「梅の枝に結んであるなんて、めずらしゅうございますね。」
そう言って女房が文の結んである梅の枝を差し出した。


ー…梅…!?ー


その時、私は、昨年の今頃返した文に゛私の庭には白梅がなく、見られなくて残念でなりません゛と、書いたのを思い出した。

受け取った梅の枝には小さな白い花が咲いていた。


ー……白梅…ー


「……っ…使者の方はまだ居らっしゃる!?」
と、私は文使いをしてきた女房に尋ねた。
「ええ、居らっしゃいますが…」
と、女房が言うのを聞くと、私は格子のすぐ傍まで行き、
「お使者殿!!
すぐに返歌を書きます故、しばしお待ち頂けませんか!?」
と、大声で言った。

「ひっ…姫!!」
「…そんな端近にっ!」
女房達の叫びを無視し、私は、
「小納言!
使者の方をお引き止めしておいて!
それから、誰か庭の紅梅を一枝こちらに!!」
と、女房達に指示を出し、急いで文を読み返事を書いた。
「姫、こちらで宜しいでしょうか?」
女房が持ってきた紅梅に文を結び、
「これを使者の方にお渡しして。」
と、言って女房に渡した。



そして、ちょうど桜の散る頃、私は春宮妃として入内した・・。


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