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伊藤美弥の悩み 〜受難〜
【学園物 官能小説】

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恋人達の悩み5 〜MEMORIAL BIRTHDAY〜-17

 そうと決まれば竜彦が帰って来るまでにはまだ間があるため、美弥は触られたくない女性から触られた龍之介を慰撫する事にした。
 といってもたいした事をする訳でもなく、美弥が主導して龍之介とお肌の触れ合いをしようというのである。
 龍之介に女性絡みの何かがあった時は女性が恐くない事を教え込むようなお肌の触れ合いが、一番よく効く処方箋なのだ。
 二人共、それを知っている。
 まあ今日の所は以前のケース程にトラウマをイングリモングリされた訳ではないのが、救いだった。
 裸の女の子に抱き着かれるのとお色気たっぷりのおねえさんに腕を掴まれるのとでは、トラウマの刺激具合にはだいぶ差があったらしい。
 以前のケースであれば美弥に一も二もなく傍にいて欲しがっていたのに今回は家に帰そうとあがいたのだから、まあその差は歴然というものである。
「ほら、りゅーう」
「いやあの」
 ベッドに腰掛けた龍之介の服を脱がせつつ、先に裸になっていた美弥はあちこちにキスを降らせた。
「うひゃはふあふぁ」
 くすぐったいのか変な声を上げる龍之介の体を、美弥は抱き締める。
 しなやかな皮膚の下に張り詰めた筋肉が、美弥を適度な弾力で受け止めた。
「……?」
 しばらく龍之介を抱き締めていた美弥は、ふと体を離して恋人の顔を見る。
 龍之介の表情から察するに、どうやらくすぐったいのではなくひどく狼狽しているようだった。
「なぁに?」
 美弥はそう尋ねつつ、龍之介の顔へキスの雨を降らせる。
 キスしたくて堪らなかった唇が顔中至る所に降り注ぎ、龍之介はうっとりしてしまった。
 何に狼狽したのかは分からないが、龍之介がうっとりしてしまったのだからまあそれでよしとしよう。
 額に瞼に頬に……と忙しくキスしていた美弥だが、うっとりしていた龍之介が不意に唇を突き出してきたのでぷっと吹き出した。
「キスのリードはやっぱり、りゅうの方がうまいよねぇ」
 言って美弥は、差し出された唇にキスを落とす。
 龍之介のリードならば要求を出す前に色々してくれて、美弥がうっとりしているうちに耳や首の愛撫へ移行するのだ。
「ふ……」
 美弥は何度か軽いキスをした後、そっと舌を滑り込ませる。
 龍之介の歯の隙間を縫って、美弥の舌は口腔内へ到達した。
「んぅ!?」
 すぐさま龍之介の舌が絡み付いてきたため、美弥は驚いて声を出す。
「ん、ふ……」
 舌を絡ませ唾液を啜り、龍之介は柔らかい唇を存分に貪った。
「はむ、むふ……」

 龍之介が存分にキスをすると美弥には少しばかりきつかったようで、唇が離れた途端に肩でせわしなく息をする。
「ふ、ぅ……!」
 やや落ち着いた美弥は息を吐き、龍之介の首にキスをした。
 首が龍之介の意外と感じるポイントなのは、二人共承知している。

 ぺろっ

「うひっ」
 熱い舌で首筋を舐められると、龍之介は思わず身を引いた。
「あ〜。逃げちゃ駄目ぇ」
 美弥は龍之介に抱き着くと、首筋を連続して舐め上げる。
「っ……!」
 龍之介は歯を食い縛り、目をつぶって、美弥の愛撫に耐えた。
「駄目。力抜いて……」
 耳に熱い吐息を吹き掛けながら囁かれ、龍之介はつい食い縛った歯を緩めてしまう。
 美弥を攻める時はたっぷりしている愛撫のくせに、いざ自分がされるとくすぐったくて恥ずかしくてもうどうしようもない。
「あふ」
 食い縛った歯が緩んだのを龍之介のこめかみの動きから読み取り、美弥は耳たぶを舐めた。
「わひゃっ」
 びくっ!と龍之介の体が飛び跳ねる。
「んふふ」
 美弥は含み笑いを漏らし、さらに耳や首へキスをした。
「うひっ……ひっ、ひっ」
 触れる唇がくすぐったくて、龍之介は思わず声を上げる。
 同じ事を美弥にしているくせに、自分が愛撫されるとどうにも恥ずかしい。
 柔らかい唇が愛しげに、鎖骨を伝って胸板へと降りて来た。
 いよいよ舌先が、乳首へと近付く。
「……!」
 龍之介は頭を振り、美弥の髪をごく軽く引っ張って拒否した。
「む……!」
 拒否された事で美弥はかえって依怙地になり、やや強引に乳首へ吸い付く。
「っ!!」
 びく!と龍之介の体が震えた。
「何で嫌がるのよぉ?」
 問う合間に、美弥はちろちろと舌を使う。
「くっ……」
 龍之介は眉をしかめ、喉の奥で呻いた。
「くすぐっ、たい……」
「ふ〜ん……?」
 美弥は目を微笑ませ、舌と唇で龍之介の乳首を愛撫し始める。

 ちろっ

「ふひっ!」

 ぱくっ

「あひゃっ!」

 ちゅ〜〜〜っ

「ああああああああ」
 龍之介は、美弥から与えられる快感に悶えた。
 愛撫している美弥当人がびっくりするような、龍之介の感じっぷりである。


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