A PIECE-2
アノコハダレノモノ?
そばにいて、だんだんと自分の色が形が変わっていくのを感じました。
それはあの子の色とカタチに近づいているような。
そんな毎日に幸せを感じていました。
そう信じていました。
でもね
ある日あの子は去ってしまった。
ぼくは
ぼくは泣きました。
本物のカケラを見つけたと思ったのに。
ぼくは満たされていたのに。
幸せだったのに。
あの子は幸せじゃなかったのかな?
あの子は満たされていなかったのかな?
そんなこともわからず、気付かず、ぼくは小さな物体です。
ただいまを言える場所も、共に目覚めてくれた朝も、他愛のない毎日も
愛しい日々も
すべては消えてなくなりました。
しばらく旅には出れそうにありません。
だってまだここには
あの子の残り香が残っている気がするから。
思い出にしばられたい。
忘れたくない。
消失した戻らない日々の中に生きて、
掴めない、見つからないカケラをただ抱いて眠りました。
ぼくはイビツなピースです。
泣いても泣いても
『大丈夫だよ。』
っていうあの声はもう返ってきません。
ぼくは灰色のカケラです。
過去にウジウジとしがみ付く仕方のないカケラです。
そこには答えはない。
ある日ぼくはまた無性に歩きだしたくなりました。
ここに別れとありがとうを置いて旅立ちました。
空っぽなぼくです。
それでもこの風の向こうに何かがあるって信じて、
また歩きだしました。
重い足取りをそうさせるのは思い出たち。
いつか
それは遠い未来に
『ただいま。』
を言える場所と
そのカケラに出会うために。