やっぱすっきゃねん!UH-1
12月24日。2学期最後の日。
遊びや旅行など、翌日からの楽しい予定に様々な思いを巡らせる中、最後に憂鬱なモノが待っていた。
通知表。
1人々の喜び、落ち込みの姿を、佳代は不安気な表情で見つめる。
「澤田!」
名前を呼ばれた瞬間、心臓は激しく高鳴った。
佳代は脱兎のごとく教壇の前に立つ。すると、担任は笑顔を彼女に向けた。
「良かったぞ澤田。その調子で3学期も頑張れよ」
「…はぁ…?」
突然の褒め言葉。
野球やスポーツなら何度かあるが、勉強で褒められた事など初めてだ。
おそる々通知表を受け取り、広げて中身を見た佳代はに驚いた。
「うそぉっ!…上がってる」
今まで、ずっと2より上がった事がなかった数学が3となり、同じく理科も3になってる。
「やった!やった!…」
佳代は喜びの声を挙げ、小さくガッツポーズをしながら席へと戻って行く。
「良かったみたいね?」
その嬉しさを全身で表す姿を見て尚美が声を掛ける。佳代は、今にも増して満面に笑みを浮かべた。
「それが、数学と理科が上がってさぁ!」
「そう。良かったじゃない」
「有理ちゃんのおかげだよ!」
佳代は慌てて有理の席に向かうと、
〈有理ちゃんのおかげで成績上がったよぉ!〉
と、言って何度も頭を下げた。
対して有理は、
〈ち、違うって。佳代ちゃんの頑張りだよ〉
と、困った表情で両手を振っていた。
そんな2人のやりとりに、尚美の顔は自然と微笑が浮かぶ。
「保田ぁ…」
ちょうどその時、担任が尚美を呼んだ。彼女は〈ハイッ〉と返事をすると席を立ち、教壇へと向かった。
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