やっぱすっきゃねん!UH-6
「別に難しい事じゃないだろ?休みの時は練習も早く終わるんだから、充分手伝い出来るハズだよ…」
「…そりゃ、そうだけど…」
「佳代も来年には 3年生になるんだ。炊事や洗濯の手伝いをしても、おかしくない歳だと思うけど?」
口を閉じる佳代。今でさえ、風呂掃除やゴミ出しを修と交替でやってるのに、この上、まだ手伝いが増えるとは。
しかし、バットとグローブには代えられない。
「分かった…お母さんの手伝いやるよ…」
佳代はしぶしぶ条件を飲んだ。
「じゃあ、明日、自分で買ってきなさい。お金は、お母さんに貰って…」
こうして、バットとグローブを新調する事になった佳代。
練習に備えて早めにベッドに入ったのだが、バットの事を思うとなかなか眠れないでいた。
───
「本当にいいんですか?」
健司と加奈は、子供が寝静まったリビングで寛ぎの1杯を交わしていた。
「…良いんじゃないか。色んな意味で他人が気になる年頃なのに、部活の道具が欲しいなんてカワイイものさ」
「そう言われればそうね…」
加奈は遠くを見つめて思いを馳る。
「…そう言えば、私も高校3年生の年、最後だからって高価なラケットを欲しがって……親を困らせた事があったわ…」
加奈の言葉に健司は微笑む。
「そういうところは君に似たんだろうね…」
「かもね…」
───