相談-1
学校には希に生徒の悩み相談室の類があり、めったに人が訪れる事はないのだがたまに相談に来る生徒がいる。
悩みはピンからキリまで様々だが…
「先生、失礼します」
「水木さんね。担任の先生から聞いてるわ」
相談をしたい生徒は担任の先生に報告し、予約を取る。
水木裕香(みずき ゆうか)性格は目立たない方で、休み時間は本を読んでいる。友達は少ない。
家族構成は3人。
今年受験なのね…
事前に渡された大まかな情報を確認し、相談室担当の林は生徒を笑顔で向かえる。
「私は林よ。普段はカウンセラーの仕事もしてるのよろしくね」
「先生私の悩み聞いて。このままじゃ私、受験どころじゃない」
「もちろんよ。話してみて?」
しばらくうつ向いて黙っていた水木はゆっくりと話し始めた…
私のお姉ちゃんが変なの。最近私が嫌いなのか、洒落にならない事をしてくるの…
私が学校から帰ると、まずテレビを大音量にしてくる。耳が痛くなるくらい…
だから部屋に行こうとすると先回りして通せんぼする。
この前なんてお風呂が水風呂になってたんだよ!
私が入る時間を知ってて…私が泣くとギャハッギャハッてすごく怖い声で笑うの。
朝は絶対靴を隠すし…
お姉ちゃん頭おかしくなっちゃったのかも…
「先生、お姉ちゃんおかしいよね?」
それは精神病の一種かも知れない…
どう答えようか悩んで目を下に落とし…
林は青ざめた。
「水木さん…家族は…三人よね?」
「そうだよ」
「お父さんとお母さんと貴方の…三人よね?」
水木は暫く考え、笑った。
「あれぇ?そういえば…お姉ちゃん…随分前にしんじゃったっけぇ」
そう言って困った顔をしている水木を林はまともに見れなかった……
この子がおかしいのか…
それとも…