螺旋の邂逅-1
〜プロローグ
私には逢いたい人がいる・・・
現在〔イマ〕の顔・名前・性別どころか
現在この世に居るかすらもわからないけれど・・
逢いたい・・いや・・逢わなくてはならない・・・
だって、『あの時』約束したから・・・
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現在[イマ]の私の名前は松岡静華[マツオカ シズカ]
地元の県立高校に通う17歳
でも、私には…誰にも言ったことはないけれど、前世の・・いや、その前の前の記憶まである
その一番最初の時、私は『約束』をした
だから、私は今もその人を探している
〜1章 古代
当時の私の名前は『アイリーン』。
生きていた場所は、イマイチよく覚えてないけど古代オリエント・・。
「アイリーン!」
と、遠くから呼ばれて、
「ラティ!!」
秘密の恋人ラティの姿を私は見つけた。この時代には差別があった…。
私とラティでは身分が違いすぎていた。私は農民の娘…彼は貴族の子息…。
「どこへいくんだ?」
と彼は私に尋ねた。
「水を汲みに行くのよ」
水瓶を置いて私は答えた。
「手伝うよ。」
そういうと彼は水瓶を持って歩き始めた。
「そんな…悪いわ!」
私が焦って追い掛けながら言うと
「でも、重いだろ?
それに、コレは男の仕事だ。」
と、彼は歩きながら返してきた。
「…貴方の家ではそうかもしれないけど…農民の家ではコレは女・子供の仕事なのよ。」
「大変だな。」
彼は水瓶を置いて言った。
その水瓶を受け取り、
「そうね。…でも、慣れたわ。」
と、言って私は微笑んだ。
バレてはいけない関係…だから、たまに会って話をするくらいしか出来なかった。
でも、それだけで私は幸せだった…。
しかし、幸せは続かない・・・