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愛は地球を滅ぼす
【純愛 恋愛小説】

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愛は地球を滅ぼす-2

オレと佐藤はしばらくどうどう巡りを繰り返し、やっと一息ついた。
佐藤が指をはじいて自動販売機をだして、二人でコーラを一気飲みした。
「で?何しにきたんだよ」
すると佐藤はまた初めのような真面目腐った顔に戻った。
「あなた方に、選択してもらうためです─―地球の未来を」
「…」
「すでにお気づきでしょうが、あなた方以外の人間は亡くなりました」
「!!…」
「別の星で二人だけで生きていく。これが選択の一つ」
「…もう一つは?」
「地球を元通りにするかわりに、あなた方から記憶の一部を消す」
「!?意味わかんねーよ」
「二人が愛し合っていた記憶、全てを消します」
「ますます意味わかんねー…」
「愛をとるか、地球をとるか、あなたはどちらを選びますか?」
「…」
風が吹いた。コンクリートのかけら。砂挨。目を閉じる。
風がやんで目を開ける。やっぱり変な天使がいる。
手にはコーラの赤い缶。しかも今だけお得なビックサイズだって?
ふざけた状況をツッこむのはやめた。佐藤はほんとのことを言っただけ。
「なんでこんなことを?なんでオレたちが?」
「…全て神の、意志です」
「都合いい答えだよな」
オレのイヤミに佐藤の顔が歪んだ。
「別の星ではオレたちだけで生きていけるのか?」
「可能です。必要な物は全てご用意いたします」
オレたちの安全は確保されるってわけか。
「地球を選んだとして、依吹の生活に支障はないんだな?」
「ありません…あなたの、篤武さんとの思い出が消えるだけです…」
オレとの思い出が…。オレからも依吹の思い出の全てが…。
振り向いて。笑って。名前を呼んでくれて。抱きしめて。キスして。
朝日を見に行って。教会をみつけて。こっそり入って。誓った。
『一緒にいよう。ずっと…ずっと』

「ありません?…支障あるよ!二人でいなきゃ…意味がないんだ!」
「でも、出会ったことさえ忘れるのですから…」
「そういう問題じゃねーんだよっ!神様とやらは何やってんだよ!」
「暴言はおやめください!」
「オレたちの誓いの言葉を聞いてなかったのかよ!?ふざけんな!」
「篤武さん!!」
「愛か地球か選べだと?暴言吐いてるのはどっちだ!!」
泣き叫んでいるうちに、やっぱりこれしかできないのが悔しかった。
眠る依吹を抱きしめて、暖かさにますます泣けた。
「依吹が好きなんだ。忘れてほしくないんだ。それだけなんだよ…」
ビュービューと風が吹き、オレのぶざまな泣き声だけが響いた。
…風がやんだ。オレは顔を上げた。佐藤と目があう。
「…決断をお聞かせ下さい」
「オレは…─」


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