フリースタイル4-5
「しかも結構かわいいんだよね」
スネークは続ける。
「なんてゆーか、日本人離れしてて。あっ、マライア・キャリーに似てるかな」
「マライア・キャリー!?すごい美人じゃん」
あたしはそう言ったけど、頭の中で思い描いたkyouzの彼女像は、年上なイメージしかなかった。
でもあのワガママなkyouzの彼女はやっぱり余裕がある年上がぴったりかもね。
「…俺も聞いていい?」
だいぶ短くなった煙草の火を消しながらスネークは言った。
「……何?」
「実香ちゃんって恭介が好きなの?」
それは意外にもいつか聞かれるだろうと予想してた言葉だった。
だって、誰が見てもそう見えるでしょ。
「多分ね」
あたしはソファーの方を見ながら答えた。
スネークも2人に気づいたようだ。
「ふーん」
そう言って少し笑った。
そして何秒かの沈黙。
別に気まずいわけじゃない。
あたしとスネークの仲だもの。
あたしはその間流れてる音楽に耳を傾けていた。
――あ、この曲はあたしの大好きなKanyeWestのgoodlifeだ。
なんて考えながら。
最初に口を開いたのはスネークだった。
「沙織はどうなの?」
あたしは今まで聞いてたgoodlifeの¨hands up your in the sky¨というフレーズが混ざり、スネークがなんて言ってるかよくわからなかった。
「え?もう一回言って」
今度はスネークの言葉に耳を傾ける。
「だから、沙織は最近どうなの?」
やっぱりわからない。
「どういう意味?」
「沙織は好きな人いるのって聞いてんの」
ああ、そういう話しか。
それは少なくとも即答できない質問だった。
だって、そんなの、あたしもわかんない。