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パズル。
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パズル。-1

生まれた時は、その形も色も見えなかった。 
どんな形をしているのか、どんな色をしているのか、それより 
光がただ眩しかった。 
そして鼓動が聞こえた。
 
ぼくはただのカケラです。 
パズルの1ピースのようなカケラです。 
それからしばらくは生きる意味なんて問いかけもせずにただただ日々を生かされました。 
そして 
そのうちボンヤリと感じてきました。 
『ぼくは未完です。』
半端なんです。 
真四角でも 
まん丸でもない。 
イビツな形をしたカケラです。 
だから 
『ピッタリと自分を埋めるカケラがほしい。』
そう願うように思いました。 
今のままでも生きられるけど、なんか気持ちが悪い。胸のあたりがキュウキュウとして落ち着きません。
だからそれを埋めるカケラを探しに旅に出ます。 
その頃はもう自分の形も色もわかってきました。 
同じ色のピッタリあるカケラを求めて歩きました。
森で最初に出会ったのは薄緑のやさしい形をしたカケラでした。 
ぼくは話し掛けました。
『ねぇ君もカケラを探してるの?
ぼくもピッタリ合うカケラを探してるんだ。』
そう言って合わさってみました。 
隙間とスキマがイビツに開いてつながりません。 
だからまた旅を続けました。 
次に海で出会った太陽のように眩しいカケラ。 
ぼくはまた合わさってみました。 
形が合わないのに無理に合わさってみました。 
なんとか2つは1つになったけど、その部分がギザギザして痛い。 
だからぼくは離れました。 
ピッタリ合うカケラはなかなか見つかりません。 
全く同じ形で同じ色でこのスキマを埋めてくれるカケラは世界には存在しないんじゃないか。 
求めるだけ無駄なんじゃないかって思いました。 
それでもこのままだと落ち着きません。 
だから旅を続けました。
ぼくはぼくを埋めたい。ただ満たしたいと願うだけでした。 
高い山にも登ったり、暗い洞窟を進んだり、見えない霧の中でもがいたりしながら。 
それでも幾度重なってもぼくは満足しませんでした。だんだん悲しくなってきて、海を眺めて泣きました。 
それは孤独からなのか本能の叫びなのかもわかりません。 
それでもぼくは歩きました。 
そして 
ある時、こう言われました。 
『おなじスキマを埋めるカケラなんてないのよ。
あなたが私の形に合わせればいいじゃない。』
 
だから身を削りました。
形を変えて整えてなんとかやっとピッタリの形になりました。 
だけど、いくらきれいに合わさっても満たされませんでした。 
だってそれはぼく? 
いいや。 
それはぼくじゃないよ。
ただ偽って歪めたカケラだもの。 

悲しくなって立ち止まりました。 

だから今度は相手をぼくピッタリに変えてもらいました。 
それでも埋まりませんでした。 
なぜ埋まらない。 
同じ形なのに。 
同じなのに。 


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