Shall we Dance?-5
曲は次々に流れていき、ペアの女子も次々と代わっていく。
軽く会話をしながら軽やかにステップを踏む。
「先生、楽しそうだねー。何かあった?」
「何もねぇよ。お前らと踊れるのが楽しいだけだ」
「先生、セクハラー」
いよいよダンスも最後の曲だ。
1人、2人、3人……。
サチのいるクラスにはもう入っているのに、サチの姿は見当たらない。
前にいる総太を見る。やはり彼も動揺しているようだった。
どういうことだ?
すると、3人先に女の先生がいた。いない女生徒の穴埋めとして入っているのだ。
ん?
待てよ。
その『いない女生徒』って…。
そして、ダンスは全曲終わり、結局俺も総太もサチと踊ることはできなかった。
いや、できる筈がない。
だってあいつは──
「フォークダンス?うん、体調悪かったから抜けてた」
片付けを終えて家に帰った後、疲れた体に鞭打ってサチの所へ行って尋ねてみれば、あっけらかんとした返事。
「でも今元気じゃねーか」
「だって、次やる選抜リレーに出なきゃいけなかったし、大事をとって、ね?」
「ね?なんて言われても…」
俺がそう言うとサチは笑った。
「でも、高校生活最後のフォークダンスを踊んなかったのは、ちょっと残念かな」
そう言って微笑んだサチの顔は寂しそうだった。