僕らの日々は。〜星に願いを〜-2
「怖っ!!」
「灯らしいわねぇ……」
「いや、まさか織姫と彦星も『友達が星になりますように』なんてお願いされるとは思わなかっただろうね……」
「そうね……。春風は?」
「え?」
「春風は何て書いたの?」
「あぁ、僕は……」
『できれば来年も、今年みたいに晴れてくれますように。 沖田 春風』
「……なんか自分の願い事を他の人に見られるのって恥ずかしいなぁ」
「………………」
「……ん?どしたの一葉?」
「へっ?あ、いや、……うん!いいと思うわ、春風らしくて!」
僕の短冊を見たまましばらくぼーっとしていた一葉は、今度は急に嬉しそうに笑ってそう言った。
……何だよ一体?
「……あ、さては僕の願い事がおかしくて笑ってる?」
「そんなワケないじゃない!」
今度は全力否定で怒られた。
……ホントに何なんだよ。
「一葉は?」
「え、何が?」
「だから、一葉の願い事。教えてよ」
「……内緒!私のはいいの!ほら、さっさと吊す!」
「何だよそれ……。ずるいじゃんか」
「いいから早く吊す!さ、帰るわよ春風!」
「はいはい……」
一葉はわざわざ椅子に昇って、1番高いところに裏返して吊していた。
むぅ。これじゃ読めない。
……しかたない。帰るとするか……。
その時、机に鞄を取りに戻る僕の後ろで、
「…………♪」
やけに一葉が上機嫌だったのが印象に残った。
皆が帰った後の、夜の教室。
綺麗に晴れて天の川が輝く夜空に照らし出される短冊。
その1番高い場所にある短冊には、こう書いてあった。
『できれば来年も、今年みたいに晴れてくれますように! 篠宮 一葉』
『星に願いを』 完