冷たい情愛Die Sekunde 最終話-1
私は翌日、都心のターミナル駅へ向かった。
朝の通勤ラッシュより早い時間だったので電車は空いている。
いつもとは違う感覚に、私は酷く緊張していた。
地下鉄ホームの淀んだ空気が、私を更に緊張させる。
乗り物を乗り継げば…目的地にたどり着ける。
そんな当たり前のことに、私は安堵し、気だけが急ぐ。
早く確かめなければ…と。
目的の場所を知らない私だったが、この時ばかりは勢いで新幹線に乗った。
座席についてから気付いたのだが、ネットで調べればすぐに分かることだった。
片山からは、仕事用の携帯とパソコンは必ず持参するように強く言われていた。
私はすぐに、ネットに接続し目的の場所を調べ始めた。
名称を入れると、その会社はすぐに検索できた。
私が検索したのは…
遠藤くんの母親が経営する会社だった。
以前会った時、軽く聞いただけだったが…かろうじて会社の名前を覚えていたのが救いだった。
東北新幹線に乗り、数時間すると…私は目的とする地へたどり着いた。
すぐさま、携帯からネットで調べた会社の番号にかける。
突然、社長に会いたいと願い出た私を不審に思ったのか、受付の女性はなかなか電話を取り次いでくれない。
「名前を言って貰えれば、すぐに分かりますので」
私はもの凄い早口でそう言った。
暫くすると、保留音が切れ電話が繋がった。