冷たい情愛Die Sekunde 最終話-9
「二人で、子どもが出来たと報告に来た時…幸せそうだったわ」
幸せな…二人の笑顔。
「結果的には、その後に事故であんなことになってしまって…」
彼女も、さすがに少し苦しそうな表情でそう話した。
「でもね、最後は…幸せだったはずよ」
私は、彼女の言葉に耳を傾け続ける。
「だって、本当に幸せそうな笑顔だったもの」
幸せそうな…
夫婦の笑顔…
私は、声を出すこともなく、だた泣いた。
勝手に涙が溢れてくるのだ。
先生も…お義姉さんも…
幸せになれたのだ…
亡くなる少し前の…本当に短い時間だったかもしれない…
それでも…
夫婦として、幸せになれたのかもしれない…
たとえ、その過程が不安や悲しみや憎しみで溢れていたとしても…
幸せになって…最後…命を終えたのだ。