冷たい情愛Die Sekunde 最終話-4
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遠藤くんの義父はまだ戻っておらず、私と彼女で先に軽く食事をした。
「紘子さんが、ここまで1人で来て…聞きたいこと…なのよね」
「はい」
「私が知っていることなら、答えるから」
「ありがとうございます」
「でもね、条件があるの」
彼女はまた、何か悪戯を企む子どものような笑顔で言った。
「芳と、一緒にいてあげてね」
「え?」
「私、ダメな母親だったけど…でも分かるの」
「はい」
「あの子ね、貴方のこと…本当に好きなのよ」
「そう…だと嬉しいのですが…私も」
私は、暫く会っていない彼を想いながら答えた。
「こんなこと、母親から頼むなんて…あの子、マザコンと思われたら可愛そうね」
彼女は苦笑いした後、言葉を続けた。
「聞きたいことって、何かしら?」
彼女は、柔らかい物腰で尋ねてきた。
「あの…神崎先生とお義姉さんは、結婚してから幸せだったのでしょうか」
「んん…、難しいわねえ…」
彼女は、慎重に言葉を選んでいる風だった。
身内のことを、他人に話すのだから当然かもしれない。