冷たい情愛Die Sekunde 最終話-3
「遠藤くんは、そんな事しません」
「それもそうね、あの子、紘子さんの事大好きだもの」
彼女は、頷きながらそう言った。
「実は、お義姉さんと神埼先生のことなんです…」
彼女は意外だという顔をする。
外はもう暗くなっていた。
コーヒーを流しこんでも、落ち着いて話すことが出来ない。
彼女も私と同じように感じていたようだ。
「紘子さんが嫌じゃなかったら、うちに泊まらない?」
「いえ、ホテルをとってありますから」
新幹線の中で、宿泊先も予約していないことに気付いた私は…
この街に着く直前、どうにか予約を入れたのだった。
「未来のお嫁さんが来てくれたら夫も喜ぶわよ」
「でも…私、遠藤くんに内緒で勝手に来ちゃったんです」
遠藤くんと連絡を取っていないことは、さすがに母親である彼女には言えなかった。
「んー、なら…私のお友達ってことで」
彼女は、本当にさっぱりとした性格だ。
そんなことを、さらっと笑顔で言うのだから。
私は本当に遠慮したい気分だったが、彼女の強い誘いを断れず…
彼女の自宅…つまりは遠藤くんの実家に泊まることになった。