冷たい情愛Die Sekunde 最終話-13
「もう、会社には言ったの?」
「まだなの…仕事どうしようかな…」
「続けなよ」
「いいの?」
「紘子から仕事取ったら、何も残らないだろ?」
「それも、いいんだか悪いんだか…」
「紘子の人生…なんだから、ね」
彼はそう、優しい笑顔で呟いた。
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「ったく、うちの戦力を手なずけやがって」
片山は、遠藤くんにお決まりの祝いの言葉を伝えた後そう言った。
「産休終わったら、すぐに会社にお返ししますから」
彼は笑って片山にそんな事を言った。
お腹が目立つ前までに、どうにか式の日取りを決めた。
会社関係、学生時代の友人たち…
たくさんの人たちが、式に出席してくれた。
その中でも一番騒いでいたのは、智子を含めた陸上部の子たち。
遠藤くんの周りに集まり、ひたすら冷やかしている。
やっぱり、あの頃、紘子の事好きだったんでしょ〜…
そんな冷やかしに、彼は笑って答えている。
「俺、紘子先輩しか考えられなかったからね」
のろけてんじゃねえぞ〜!…と彼の同級がはやし立てる。
智子が友人代表でスピーチを始める。
「紘子さんと出逢ったのは15の春でした…」
初めて、自分の未来を描き始めたあの頃。
人を愛することを知った頃。