冷たい情愛Die Sekunde 最終話-12
「いや〜、嬉しいわ。私にもこんな息子が出来るなんて〜」
母は、この上ない程の上機嫌ぶりで料理をどんどん振舞っている。
父も、母のことは注意する癖に自分もテンションが上がっているのかどんどん酒を口に運ぶ。
遠藤くんにも酒を薦め、少しでもグラスが空くとすぐに酒を注いでしまう。
酷く酔った父と彼は、さすがに限界が来たらしく…
その夜は、そこでお開きとなった。
私の実家の部屋に彼は泊まることになっている。
ベッドの下に、布団を敷き…彼は一気に倒れこんだ。
「ごめんね、お父さんもお母さんもテンション上がっちゃってて」
私は彼に謝った。
「紘子のご両親…俺、すごく好きだな」
「ええ?嫌よあんな親。恥ずかしい…」
「紘子とあんな夫婦になれたらいいな…」
彼は、酔って真っ赤になっている顔で、そう言った。
そして…
彼は私の下腹部を手のひらで撫でる。
「動いてくれなきゃ、分からないな」
「まだ動くわけないでしょ」
まだ小さく動くこともない、新しい命。