冷たい情愛Die Sekunde 最終話-11
「紘子さん、これだけ聞いたんだから…」
「あ、はい…」
「芳と、結婚しちゃいなさいな」
私は、たくさん流した涙のせいで、きっと真っ赤な目になっていることだろう。
それでも、その変な理屈がおかしくて笑ってしまった。
「私でいいんですか?」
「勿論よ。私と貴方でここで決めちゃうのもおかしな話だけど」
私と彼女は、微笑み続けた。
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「まあ、一流の企業にお勤めなのねえ」
「うちの娘も、仕事ばっかりだけど…可愛いところもあるんですよ」
「妹に先を越されて、どうなるかと思ったけど…」
「ご実家は会社を経営なさってるなんて、凄いわね〜」
「料理なら、結婚までに私がしっかり教えておきますから」
「背も高いし…ほら、なんて言うの?今時の言葉で…」
「そうそう!イケメン?でしたっけ?遠藤さんイケメンね〜」
「順番なんて、気にならさないでね。今時珍しくないもの」
父は、酒を彼に注ぎながら本気で呆れた顔をしている。
「おい…いい加減にしないか」
父は我慢の限界だったらしく、1人喋り続ける母を注意している。
「すまないね。うちのはいつも口うるさくて」
父は、苦笑いして彼に謝っている。
「いえいえ…お義母さんの息子になれるのが嬉しいです」
遠藤くんは、お世辞なのか本音なのか分からない返答をしている。