ヒメゴト〜meetingroom〜-5
声も上げ、
これだけ愛液も溢れているというのに、
瞳には自分の姿が映っていない。
深く繋がっている筈なのに繋がっているのは身体だけで、
心はバラバラなのだ、
と陽介は気付いた。
瞬間、そんな麻衣子を滅茶苦茶にしてやろう、と
腰を強く掴みかけたが、
誓いを思い出し、
直ぐに怯んだ。
(向き合うって決めたんだ…!)
陽介は再び麻衣子の顔を覗き込み、
腰を打ち付けながら、
おもむろに唇を重ねる。
ただ重なっているだけの唇を、
麻衣子がちゅうちゅう、と音を立てて吸い始め、
やがてお互いの舌が口腔内を浸食する。
息苦しい程の口付けが、
意識を遠退かせる。
(ヤバ…っ!!)
陽介は唇を離すと、
スパートをかける様に、
激しく腰を打ち付ける。
「あっ!…ダメ…ぇ!!……キモチ…イ…」
後ろ手では支えきれず、
麻衣子は陽介の首元に両手を絡ませた。
支点が変わり、
より深く陽介が侵入し、
絶頂に更に近付いた。
「イキそ…っ!どこに出せばいい?」
陽介は必死の表情で麻衣子の顔を覗く。
麻衣子も必死の表情で陽介を見つめ返す。
「膣内に…膣内に出して!……あたしも…っ」
ぐわっ、と大きな波が麻衣子を取り巻き、
色んな箇所に力が入る。
「イクよ…っ!!」
陽介がそう発した瞬間、
ビュルビュル、っと勢い良く、
膣内に陽介の性が放たれ、麻衣子も大きく痙攣を起こした。
しばらく陽介は身震いが収まらず、
麻衣子もまた、小刻な痙攣を繰り返していた。
荒い息遣いの中、
陽介は象徴をずるりと引き抜き、
その場に座り込む。
行為の最中、麻衣子の瞳に吸い込まれ、
果てた後もかける言葉が見付からなかった。
次第に息遣いも整い、
麻衣子はそのままフラフラと地に足を付ける。
麻衣子もまた、陽介にかける言葉が出てこず、
出口に足を向け、
第三会議室を後にした。
置いてきぼりを喰らった陽介は、
だらしなく座り込んだままただただ途方に暮れた。