ヒメゴト〜meetingroom〜-2
「ごめんなさーい。」
膝を叩いて立ち上がり、
美映は陽介の目の前にやってきた。
「だって西田さんに近付きたかったの…。」
美映は曲がっているネクタイをキュッ、と締め直し、陽介の胸にトン、と手を置いた。
数十センチの間に、
麻衣子、陽介、美映と三人が重なる様に居り、
美映以外の二人は動悸が収まらなかった。
「わかったから。また後でな。仕事終わってないって言ってるだろ?」
美映の手を掴み、
そのまま引っ張って廊下に追い出した。
顔を見ることも無く、
ガチャリと鍵を閉めた。
廊下で美映は何か叫んでいる様だったが、
陽介はお構い無しに麻衣子の顔を覗き込んだ。
表情を確認して驚いた。
麻衣子は涙を流し、
小刻に震えていた。
「大丈夫か?」
思わず陽介は麻衣子を抱き締め、
背中を優しく擦った。
(驚いたんだろうな、無理も無い…。)
陽介は不意に見せられた麻衣子の表情に、
戸惑いながらも愛しく感じていた。
しかし麻衣子は全く別の感情を抱いていた。
昨日番号を交換したばかりの自分と、
親しげな陽介と美映。
何度か抱いて貰っただけで陽介を繋ぎ止めている、
という傲慢。
酷く自分が卑しく思えていた。
「あ…たし…、…戻り…ます。」
陽介の胸に抱かれてはいるが、
この惨めな姿が許せず、
麻衣子はそっと陽介の元から離れた。
「え…?」
呆気に取られている陽介を置き去りに、
麻衣子はペコリと軽く一礼し、
鍵に手をかけた…
…所で後ろから強く抱き締められた。
「急にどうした?高野は気付いて無いよ。」
耳元で優しく囁かれ、
ビクリ、と麻衣子の肩が震える。
そしてそのまま陽介は、
後ろからブラウスの中に片手を差し入れた。
優しく乳房を揉みしだき、次第に露になってきた突起を、
キュッと摘んだ。