『今』という希望-4
「遺書の最後に『ナオが待ってるから』って書いてあった…。夢の中でナオはどこにもいなかったの。まさか死んでたなんて…」
「サチ」
「ねぇ、何でナオは死んじゃったの?いつ死んだの?夢の中のあたしはいつから1人になっちゃったの?あたしが死ぬ必要はあ「落ち着け、サチ!!」
ナオが大声を出したから、私は話すのをやめた。
ナオは私の頭を優しく撫でながら言った。
「サチ、今目の前にいるのは誰だ?」
「…ナオ」
「そうだ、俺だ。じゃあ、俺は今生きてる?死んでる?」
「…生きてる」
「だろ?お前の夢では死んでたかもしれないけど、現実では俺は生きてる。お前と一緒にいる」
「…うん」
「お前だって死のうだなんて思ってないだろ?まぁ、そんなこと思ってても俺が止めてみせるけどな」
だから、もう泣くな。
そう言って、ナオは私を膝の上に乗せたまま腕を私の背中に回して引き寄せた。
私はそのままナオの胸の中でひたすら泣いた。
「…ナオ、ありがとう。もう大丈夫だから」
気持ちも大分落ち着いてきたため、ナオから離れようとする。しかし、ナオは一向に離そうとはしない。
見上げてみると、ナオは私を抱き締めた状態のまま眠っていた。
何とか無理やりナオから離れようとするが、失敗に終わった。
いいや、このまま寝ちゃえ。
そう思い、ナオの腕の中で眼を閉じた。