『今』という希望-3
私は床に寝転がる。横になったと同時に段々足が痺れてきた。
ナオはこんな広い家に1人でいて、寂しくないのかな。
そんなことを考えながら天井を見上げていた。
──あぁ、またあの夢だ。
いつの間にか寝てしまっていたようだ。
朝見たのと同じ、悲しい夢。
私はまた手紙を覗き込もうとする。いつもならここで夢は終わってしまうが、今回はまだ続いている。
真っ白な紙に淡々と書かれた文章。
それは、手紙なんかじゃなかった。
夢の中の私が部屋に帰ってきた。今まで私の存在に気付かずにいた彼女は初めてこちらを向き、そして悲しく笑って言った。
サヨナラ。
「……、…い、サチ…!!」
上からの声に気付いて目を覚ます。ナオは心配そうな表情で見つめていた。
「サチ、お前大丈夫か?うなされてたみたいだけど。怖い夢でも見たか?」
「…うん」
私はそのまま座っていたナオに抱き付いた。
良かった。温かい。ナオはここにいる。
「ちょっ、お前、何して「ナオ、ナオはここにいてね。どこにも行かないでね」
「…俺がいなくなった夢でも見たの?」
「うん。…夢の中のあたし、死のうとしてた。遺書書いてたの」
遺書には寂しい人生に疲れた、生きる意味が分からない、母への謝罪、そして、最後に一言。