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やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

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やっぱすっきゃねん!UF-5

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「新しいコーチが決まってさぁ…」

 夕食、入浴を終えた佳代は、家族の集うリビングでストレッチを行いながら、今日の出来事を話す。

「新しいコーチって、藤野コーチは?辞めたの…」

 弟の修は、テレビを見るのを止めると姉の話に不安な顔で訊き返した。

「違う、違う。 藤野コーチは臨時で土日だけの指導でしょ。 今度は先生のコーチだよ」

 佳代は寝転がり、天井に向けて足を伸ばしながら答える。

「なあんだ。 来年野球部に入ったら藤野コーチに教えてもらおうと楽しみにしてたから、びっくりしたよ」

 ホッとした表情を見せる修。

「今度はどんなコーチ?」

 となりで聞いていた母親の加奈がデザートのリンゴを持って入って来た。
 ストレッチを終えた佳代は、リンゴをひと切れ頬張る。

「日本体〇大学の女子硬式野球でキャッチャーやってた葛城って先生だよ」

「日本体〇大学って言ったらお母さんと同じ大学じゃないか」

 父親の健司が話に割って入る。

「お母さんも日本体〇大学だったの?」

「母さんはバドミントンの選手だったんだよ」

 健司はまるで我事のように嬉し気に佳代に聞かせる。 だが、加奈は照れたような表情を浮かべると、

「…もう、20年近く前だけどね。 ところで、その先生って幾つくらい?」

 そう言って話を元に戻した。

 佳代は人差し指をアゴに当てて上を見る仕草をしながら、

「ええと…30歳くらいかなぁ」

「じゃあ10は若いわね。 その頃の野球部なら、かなり強かったハズよ」


「そうなの?」

 確認するように訊く佳代に加奈は強く頷いた。

「…あの頃は男子が日本選手権で優勝したり、数名がプロに入団したりして凄く強かったの。 その男子の影響を受けてるでしょうから上手いハズよ」

「へぇ〜。 明日にも訊いてみよっと…」

 佳代は床から立ち上がると、ひとつ伸びをした。

「…じゃあ私、今からテスト勉強やってから寝る。 明日は 7時前に起きるから…」

「ああ、あまり無理しないようにな。 やり過ぎると身体を壊すから…」

 健司の気遣いの言葉に、佳代は〈分かってる。 おやすみなさい〉と答えてリビングを後にした。


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