やっぱすっきゃねん!UF-13
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「ソイツがすっごいヤな奴でさぁ。 私が部員なのをバカにしたように笑ってさぁ…」
夜。 父親の健司も加えて久々に家族揃っての夕食。 佳代はそこで稲森との出会いと、その印象を家族に聞かせていた。
しかし、
「佳代。 初対面の人の印象を、そんなに悪く言っちゃっダメだよ」
健司から、優しい叱責の声が掛かる。
「そんな事言ったって、先に言って来たのはむこうだよ」
「事情を良く知らないからだろう。 とにかく、これから仲間になるんだからそんなに言っちゃっダメだよ」
「は〜い…」
むくれ顔で生返事をする佳代。
「そのテストって何か特別にやるの?」
入部テストと聞いて気になったのか、修が佳代に問いかける。
「別に。 私達と一緒に練習をやるだけよ」
そこまで言って佳代はニヤリと笑った。
「アンタも野球部に入ったらやらされるからね」
「本当に 5キロも走らされるの?」
「そうだよ。 だから練習しときな。入ったら毎日だからね」
暖かな家庭。 その外、今夜は風も無く澄んだ冷たい空気が周りを満たしている。
上空を眺めれば夜空に散りばめられた大小の冬の星座が、気体のゆらぎで瞬いている。
その様は実に美しかった。
…「やっぱすっきゃねん!?」?完…