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僕らの日々は。
【コメディ その他小説】

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僕らの日々は。〜ある日の僕ら。〜-1

「あ。おはよ、春風」
「おはよ、一葉」

とある日の朝。
これといって特別な事はなく、学校もある平日。

強いて言うなら、六月になって梅雨入りしたというのによく晴れている事が特別だ……というくらいの、普通の日。

「なんか遅かったね?」
「ちょっとね。…先に行っててくれてよかったのに」
「まぁ、そこまで遅いワケでもないし」

僕――沖田 春風は、いつも通り登校ついでに一葉を迎えに来ていた。
……といっても、家もすぐそこだし通学路でもあるので、迎えに来たっていうよりは合流したって感じだ。

小学生の頃から続く、もはや習慣である。

「で、何かあったの?」
「んー、ちょっともめてね」
「もめたって……何をさ?」

基本的に仲が良い篠宮家には珍しい事だ。

「今日の朝の占いでさ、『部屋のカーテンをピンクに変えると運勢アップ!』ってあったのよ」
「占いねぇ…。それで?」
「普段は占いなんて信じないトコなんだけど。ここ数年いじってないし、調度いいから模様替えしちゃおうと思ったの」

そこで一葉はため息を一つ。

「でもそこで猛反対されちゃってねぇ……。で、色々と言い合ってるうちに時間が過ぎちゃって」
「別にいいと思うけどなぁ、模様替えするくらい」
「そうでしょ?まったく、陸斗ったら……」

……ん?陸斗君?

一葉には陸斗君という中学二年生の弟がいる。
いる……のだが。

「何で陸斗君が模様替えに反対するんだ?」
「え?何でってそりゃ……」

一葉はキョトンとして、

「カーテン変えるの陸斗の部屋だから」


………………。


「えーっと、何で?」
「陸斗は射手座なんだけど、射手座が占いで『カーテンを変えると運勢アップ』って出たから」
「……何色に変えるって?」
「ピンクだけど」
「怒って当然だ!」

そりゃ中二の男子としては、ピンク色のカーテンなんて付けたくないだろう。
僕だって嫌だ……。

「前々から陸斗の部屋には華やかさが足りないと思ってたのよ。調度いいと思って早速今日変えようって言ったんだけどね……残念」


朝起きたらいきなり姉に、

『部屋のカーテンをピンク色に変えるわよ!今日!』

……なんて言われたのだ。残念なのは陸斗君の方だったろう。

「……負けるな、陸斗君」
「ん?何か言った?」
「いや、別に。さ、少し急ごう。遅刻しそうだ」
「あらホント。行きましょ!」

心の中で陸斗君にエールを送りつつ、僕は駆け足で学校へ向かうのだった。


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