僕らの日々は。〜ある日の僕ら。〜-4
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昼休み。
「ふぃー、食った食ったぁ」
「いや、だからお前喰うの速いよ……」
狭はいつも通り高速で弁当を食べ終わっている。
「まだ俺達半分しか食べてないのにな。もうちょっと落ち着いて食えって。せっかく夢逢ちゃんに作ってもらってんだからさ」
「ん?ちゃんと味わって食べてるって。あいつの弁当美味いし」
僕と安良は顔を見合わせる。
こうも平然とのろけられてもなぁ……。
狭はなぜか得意げに、
「ま、俺が食べるスピードが速いのも無理もない。何たって、俺の得意技は早口言葉だからな」
「なぁ狭。俺の考えが正しければ早口言葉と食べるスピードには関連性は皆無のはずなんだが」
「というか早口言葉が得意だなんて初めて聞いたよ」
相変わらず無茶苦茶な理論だ。
「よしよし。それじゃあ俺の力を見せてやるよ」
「いいだろ。んじゃ俺が課題を出してやろう」
何だかんだでノリのいい安良である。
「『赤巻き紙青巻き紙黄巻き紙』。言えるか?」
「余裕!」
ニッと笑い、
「赤巻き紙青巻き紙キバミガミっ!!」
「『黄ばみ紙』って何だよ。……黄ばんでるのか?」
「いや、黄ばみの神様だ」
いたら嫌な神様だな……。
「じゃ次な。『坊主が屏風に上手に坊主の絵を描いた』!言ってみ?」
「楽勝!」
いや、楽勝って……お前さっきの言えてないよ!
……とか心の中でツッコんだ矢先だった。
「坊主がジョーズに上手に屏風の絵を描いた!」
「ジョーズに絵を描いたのか!?度胸あるなその坊主!」
思わず声に出してツッコんでしまった。
と、狭は不敵な表情で、
「沖春、勘違いするなよ?今のは言い間違えたんじゃない。……覚え間違えたんだ」
「そうか、悪いのは頭か」
安良納得。ひでぇ。
「んじゃ難しいの行くか。『この池の杭、引き抜きにくい』!やってみな」
「少しは歯ごたえがありそうだな……いくぜ!」
早口言葉に歯ごたえっていうのもおかしな話だよなぁ……。