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15cm
【学園物 恋愛小説】

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15cm(後編)-3

「かなり驚いたけど、何で花火が…?」

「あれは、遊園地の花火。
毎日、7時半に打ち上げるらしいんだ。
それで、早足だったわけ。」

恥ずかしそうに答える七瀬を見て、何だか嬉しくなった。





花火はあっという間に終わった。
途端に、景色が寂しい。
そのせいか、今まで感じなかったけど、この住宅街がすごく暗く感じる。

…今、何時だろ?

腕時計をみようとして、気付く。
まだ手をつないだままだった。

「「あ、ごめん!」」

2人同時。
パッと離された手が、急に冷える。
ふと目があって、

「…帰ろっか。」

恥ずかしくなって、それだけ言った。





今まで歩いてきた道を、戻る。

「…七瀬、何で今日、私を誘ったの?」

しばらく無言で歩いていたけれど、無性にそれだけが気になって聞いてみた。
特別な答えとかじゃなくても、ただそれだけは聞いておきたかったから。

突然の質問に戸惑ったのか、七瀬は「えーと」と数回繰り返して黙ってしまった。





また、暫くの沈黙が続いて、やっと七瀬が切り出した。

「あ〜…、うん、実はさ、渡辺と俺の姉ちゃんの雰囲気が似ててさ…」

「七瀬のお姉さんと?」

“隣の席だから”とか“いつもノート借りてるから”とか、そんな答えを想像してたから、七瀬の答えは意外すぎた。

「…渡辺は覚えてないと思うけど、1学期にバスケ部の試合があって、その試合間近にクラスの女子が毎日練習を見に来てて、俺すごい迷惑してたんだよね。
うるさくて練習に集中できなくて、だけど、そういうの言えなくて困ってたんだ。」

いきなり何の話なんだろう。
もちろん私はバスケ部じゃないし、試合があった事なんて全然知らない。

「試合2日前、クラスの女子が『今日も練習見に行って良い?』って聞いてきたんだ。
俺はまた『いいよ』って言いそうになってた。
だけど、そこで近くにいた渡辺が言ったんだ。」

私が?
全然覚えてないんだけど…。


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