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Blackmail
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Black mailU-4

「では、2人の未来に…」

 ひとり上機嫌を装い、グラスを合わせると一気に飲み干した。
 対して恭香は、わずかに口をつけただけだ。

 琢磨は大きく息を吐くと、それまでの浮かれた様子を消し去った。

「…私が貴方に送り付けた映像。 あれは、飯島の携帯から送られたモノです」

恭香は言葉を失った。 まさか、自分が最も信用していた飯島が、そんなことをするハズ無いと思っていた。

しかし、琢磨の説明が真実を晒け出す。

「貴方がヤマト証券に入社される際、住居を提供したのは誰です? それに、貴方がニューヨーク支店に左遷され、その後ガマに部長に就いたのは岡野なんですよ…」

「そ、そんな……」

恭香は信じたくないと言いたげに、首を数回振った。

「貴方は利用されたんですよ。 ヤマト証券にいた〈給料泥棒〉どもを首にするためにね」

恭香は何も言えなかった。 彼女自身が集めた情報も、琢磨の言葉を裏付けていたからだ。
 彼女は両手でグラスを包み込むと、一気に喉に流し込んだ。 アゴから首元の緩い曲線がわずかに上下に動く。

白い肌を目の辺りにした琢磨は唾を飲んだ。

「…おかわりを…」

バーテンダーがグラスにスコッチを注ぎ入れると、恭香は半分ほどを一口に飲んだ。

「…さて、ここからが本題です。 彼等に復讐したいと思いませんか?」

「それは……」

「でも、その気持ちが有るからココに来たんでしょう?」

琢磨の身体がにじり寄る。

恭香は考えた。 左遷という人生唯一の汚点。 もし、今の会社に拾われなければ自分のキャリアはとうに終わっていた。

「…いいわ。 貴方の話に乗ったわ」

そう言うと、両手で包んでいたグラスを傾ける。

「さすが恭香さん!そうこなくちゃ」

琢磨は目を輝かせ、派手なアクションを混じえて喜びを表した。 だが、 そんな手放しの喜びように恭香は釘を刺す。

「でも、実行するには、それなりの計画が必要でしょう?」

「任せて下さい。 ヤツらを社会的に抹殺するための情報は握ってます。 後は貴方のフォローがあれば完璧です」

「…私…のフォロー…?」

不可解といった表情の恭香。

「…そう。 正確にはJP・モル〇ンが持つ情報部の力です」

琢磨は自信満々と言いたげな表情を浮かべる。


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