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「人外の果て」
【近親相姦 官能小説】

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「人外の果て」前編-2

───


「エエッ、お母さん。 もう帰っちゃうの?」

夕方近く。 服を着替え、帰り支度をする里恵子のそばを離れようとしない沙織里。

「なあに沙織里。 小さな子供みたいに」

「だってぇ…」

 沙織里は、不安でいっぱいな顔を母親に向けた。 それを見た里恵子は、困り顔でひとつため息を吐くと、

「いい?私も明日から仕事があるの。 アナタも決心して入学したんでしょ。 来週の休みにはお父さんも連れて来てあげるから、それまでは辛抱なさい」

「…は〜い」

母親の言葉に沙織里は頷いたが、口をへの字に曲げた顔は露骨に不満を表していた。




───


夕食の時刻。

「亮。 晩ご飯だから沙織里ちゃん呼んで来てくれない?今夜はあの子のお祝いだから」

永里子はキッチンで気忙しく料理を作りながら、リビングに居る息子を呼んだ。

「分かった」

亮は見ていたテレビを消すと立ち上がって、リビングを出て沙織里の部屋に向かった。

亮の自宅は旧家屋の造りをしていて、リビングから座敷へと真っ直ぐ伸びる廊下は座敷に突き当たると、そこから座敷を囲うように大きく回り込んで向きを変えると、座敷を通り過ぎた辺りの〈離れ〉と呼んでいる部屋へと続いている。 二つ有る離れの内、ひとつを亮が、もうひとつを沙織里の部屋にと充てたのだ。

「お〜いっ」

亮がノックをしながら呼ぶと、返事をするように中から小さな声が聞こえる。

「沙織里!晩メシだって…」

そう言ってドアを開けると、部屋の奥から沙織里は現れた。 その顔を見た亮はドキッとした。 瞳が赤く潤んでいたのだ。

「ど、どうしたんだ?」

「…何でもない…」

異様さに気づいた亮は訊いたが、沙織里は答えず彼の横をすり抜けると、そそくさとダイニングの方へ行ってしまった。
 その姿を見つめる亮は、しばらく動かなかった。


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