気付かずの恋-7
「アルの髪は光ね。光と闇、まさに私たちじゃない」
出してはいけない花の芽は、摘んでしまえ。
そんな恋とは言えぬ、漠然とした想いを胸に秘め、2人は明るい月明りの下。
「ヤヨ、此処を出るか」
「私も?」
「あぁ」
「………」
「嫌なら、良い」
「何があったの」
「お前には、関係ない」
「何処に行くの」
「アメリカだ」
「何をしに」
「犯罪を」
どうして、何故、弥世の頭に疑問符ばかりが浮かんでは消えていった。でも、聞かなかった。
嗚呼、彼の遠い目はそういうことだったのかと心で呟く。多分、彼を酷いめに遭わせた人に復讐でもしに行くのだと思った。
「行かないか」
「………行く」
「馬鹿、簡単に答え出すな。悩め。死ぬかもしれない、殺されるかもしれないぞ」
「復讐なの?」
「……少し、違う」
彼女には分からなかった。
だが、離れたくないと思った。唯、其れだけだった。
それはアルも同じで―…、
「お前を危険に晒したくはない。でも―…」
「でも?」
「俺もお前が一番好きだよ」
「それは、一番マシっていうこと?」
「……お前とトランプが出来なくなるのはつまらないしな」
いや、唯たんに、側に置いておきたかった。理由も分からず、彼女を連れて行こうと決めた。
「明日、明日の夜に出る」
「分かった」
「此処で」
「うん」
「じゃ、戻れ」
「貴方は」
「戻るよ」
「一緒に……」
「先に行け」
パサ、
弥世は着ていた厚手のジャケットをアルにかけてやる。