萌えるなら私に-4
「やべぇ。俺、すごい嬉しい」
「えっ、何で?」
そう尋ねると、剛太は真っ赤な顔で満面の笑顔を私に見せて言った。
「だって、真樹、ヤキモチ焼いてくれてんだろ?」
「ヤキモチ…」
確かに。言われてみればそうだ。私は『すず』という二次元の存在にヤキモチを焼いていたのだ。
「恥ずかしい…」
私も真っ赤になって顔を両手で覆う。
けれど剛太はそんな私の手を掴んで、にっこり笑った。
「俺らもさ、隼人とすずみたいに、手、つなご?」
そう言った彼の顔は相変わらず真っ赤で、私は思わず笑ってしまった。
「─実を言うと、俺も隼人にヤキモチ焼いてたんだ」
2人で手を繋ぎながら歩いていると、剛太がそんなことを言った。
「付き合ってても、真樹は隼人のことで頭いっぱいだったし…。だから、さっきの真樹の言葉、本当に嬉しかった」
私は驚いて剛太を見上げる。
そんな風には見えなかった。
目が合って、私と剛太は笑い合う。
何だ。
私たち、お互いこんなに好き合ってたんだね。
「明日、剛太の家で先週と今週の分の『ツンない』見に行ってもいい?」
そう聞くと、剛太は「もちろん」と笑顔で返してくれた。
オタクはやっぱりやめられない。
好きなアニメキャラはやっぱり彼氏ができても大好き。
だけど、あなたのことだってちゃんと愛してるからね。
だから、たまにはちゃんと言ってあげないと。
「剛太」
「うん?」
「大好きだよっ」