萌えるなら私に-3
──脱オタ宣言をして2週間。
「ねぇ、いい加減やめたら?真樹すっごい顔色悪いよ」
「ううん、大丈夫…」
『ツンない』無しの生活は正直辛いものがあり、夜は隼人の夢を見てしまうために寝ることができず、不眠のせいで食も細くなってしまった。
この2週間で、体重も5kg落ちてしまったのだから、見た目にも辛さがにじみ出ている。
「毎日『ツンない』見て、毎日騒いでたんだから、『ツンない』は真樹にとっての麻薬になっちゃったんだよ」
「麻薬じゃ余計にやめないと…」
「そういう意味じゃなくって!要するに、簡単にはもうやめられないんだよ。無理する必要ないって。『ツンない』見て誰かに迷惑かけてるわけじゃないんだから」
「うーん…」
「ねぇ、何でそこまでするの?剛太だって心配してるんだから…」
そう言って優里は私を心配そうに見つめた。
けれど、私がそこまでこだわる理由は何だろう。
ふと、そんな事を思い返してみる。
初めは剛太にオタクをやめてもらいたくて、その理由は…
あぁ、そうだ。
私、剛太がすずの話をするのが嫌だったんだ。
『今日一緒に帰れる?話したいことがあるの(>人<;)』
剛太にメールを送ると、数分後に返ってきた。
『了解!!じゃあ帰りに真樹のクラスに行くね☆』
よし、話そう。
私の気持ちを。
「─で、どうしたの?」
いつもの帰り道の途中、剛太は立ち止まり、こちらを見て尋ねてきた。
私は大きく息を吸い、そして話し始めた。
「あのね、私、剛太がすずのこと『可愛い』とか『好き』とか言ってるのを聞くと、何か嫌な気持ちになっちゃうの。自分で言ってて変だと思う。でも、私がオタクをやめれば、剛太も『ツンない』から、すずから離れると思ったから、だから…」
剛太は驚いたようにこちらを見つめていたが、その後、自分の手のひらで顔を押さえて下を向いた。