投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

loop
【幼馴染 官能小説】

loopの最初へ loop 0 loop 2 loopの最後へ

loop-1

気持ちいい程に晴れた空。
真っ青な空に、昔よく祭で食べた綿菓子のような雲が二つ三つふわりふわりと浮かんでいる。

あたしは勢いよくカーテンを開けた。シャァッとカーテンレールを滑る音が響き、それと同時に朝陽が真っすぐ差し込む。

真っ白い陽射しがたっぷり差し込む南向きのこの部屋があたしは好きだった。

朝、何も考えずにベランダからこうやって空を眺める事があたしの欠かせない日課で、ベランダから差し込むこの陽射しは、どうしようもない自分がまるで浄化されていくような、それでいて少し泣きたくなるような―そんな気持ちにさせてくれる。





――しばらく気の済むまで外を眺めた後、のそのそと用意をし始める。
履き慣れたジーンズに脚を通し、そのままキッチンに行きお気に入りのマグにコーヒーをなみなみと注ぐ。
たっぷりと注がれたコーヒーを歩きながらズルズルと飲み、キッチンのそばのママの部屋をそっと覗くと、ママはまだぐっすりと眠っていた。



この家から『パパ』という存在がなくなったのはあたしが物心ついて間もなくの事だった。
それからはママが必死に働いてあたしを女手一つで育ててくれて、あたしは何不自由なくここまで育ち、大学まで通っている。

淋しい時はたまに訪れた。
例えば家族そろって見に来る運動会や、日曜日に行われる父親参観。
そのたびに幼いあたしは恨めしくも思ったけれど、もともと父親という存在を知らないだけに、それにもいつしかだんだんと慣れていった。



「行ってきまぁす。」

ママとあたしには少し広すぎるこのマンションに、あたしの半ば口癖と化した言葉がひんやりと響く。
幼い頃から返ってこないとわかっていて言ってしまうのはなぜだろうか。
あたしはエナメルのパンプスを履きながら、そこまで考えてやめた。
これがあたしの日常なのだから。




外に出ると、さっきのベランダとは違い、空気は意外にもひんやりとしていた。

「もう秋だねー」

間延びした声に驚いて振り向くと、幼なじみのフキが立っていた。

「…おはよ。」
「おはよー。晴れてるからあったかいかなーって思ったのになぁ…肌寒いなぁ…秋だねー」
ふあぁあ…そう言いながら気持ちよさそうに大きな欠伸をする。

そういえば、隣に住んでるというものの、つい最近まで夏休みだったし、そもそも大学に入ってからすれ違いが多くなって、フキとこうやって朝に会うのは久しぶりかもしれない。


loopの最初へ loop 0 loop 2 loopの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前