ヒメゴト〜face each other〜-1
シャワールームから出て、タオルも借り、
ふぅ、と一息着いた所で、陽介は猛烈な睡魔に襲われた。
一日で濃い営みを何回もしたお陰だ。
(さて、どーすっかなぁ?帰るにしたら…)
脱ぎ捨てたスーツから携帯を取りだし、
時刻を確認すると、
まだ零時前だった。
(帰れない事はないなぁ。けど面倒臭い…。)
うーん、と考えながら、
頭から落ちる水滴をガシガシと拭いた。
(とりあえず野村サンに聞いてみない事にはな…)
腰にタオルを巻き付け、
シャワールームからガチャリ、とドアを開けると、
麻衣子は玄関でうずくまっていた。
急いで駆け寄り、
グイ、っと肩を揺する。
「おい!大丈……」
と言葉を発した所で、
スースー、と寝息をたてているのに気付いた。
麻衣子も一日で何回も濃い営みをした結果だった。
無防備な寝顔を見て、
何故だか愛しい気がしてきて、
陽介は麻衣子の額にそっと口付ける。
(ここで寝かせる訳にはいかないなぁ。)
陽介は起こさない様に、
ベッドまで麻衣子を担ぎ、ぽすん、と寝かせた。
麻衣子は何事も無いかの様に、
寝息をたてている。
(服も脱がさないとまずいだろうな…)
上着とブラウスのボタンを全部外し、
前をはだけさせると、下着が目に飛込んできた。
陽介はドキ、っとしたが、そのまま事を進める。
横向きにし、下着を残してスカートも同時に脱がす。
すると淫部も露になり、
更に陽介は動揺する。
(俺は何を考えているんだ…。)
一瞬、自己嫌悪を感じ、
ふるふると邪念を祓う様に頭を振った。
パッ、と麻衣子に目をやると、
はだけたブラジャー一枚で横たわっている。
あまりにも無防備なその姿に、
ドギマギしつつ、
変えの洋服を探そうと部屋を見渡したが、
他人の部屋を勝手に触っては悪い、と思った陽介は、麻衣子に布団をかけ、
自分の鞄を取りに玄関に戻った。
鞄の中から煙草を取り出すと、
火を着け、大きく肺まで吸い込む。
溜め息混じりに煙を吐きだすと、
その場に座り込んだ。