気持ちの比例式-2
―ピンポーンピンポーン―
『開いてるから入って来て』「あっ、はい」先生のマンションはいつも緊張してしまう。だって、すっごくゴージャスなんだもん。高層マンションで入口はホテルのロビーみたいに綺麗で大きくて…。教師ってそんなにお給料多いのかな?って疑問に思っちゃうほど。
ガッチャ「いらっしゃい。入って」「あっ、う、うん」
先生は、綺麗にセットされた頭で銀縁眼鏡に白のエプロン姿で私を出迎えた。先生は目はあまりよくないらしい。学校では差し支えがないから裸眼らしいけど家では細々としたことをするからという理由で眼鏡をかけている…。
学校でも仕事があるんじゃ…?
先生のツンとした顔立ちが眼鏡をかけるとよりはっきりとする。
これが学校にいる時の人と同一人物とは思えない!詐欺だ…。
「その椅子に座って。もうできてるから」と、先生はチャチャッと用意をしだした。テーブルの上には、スープ、前菜、魚料理、肉料理が綺麗に盛りつけられている。レストランにいるみたい…。
「どうぞ召し上がれ」「うん!いただきます♪……ぅ〜ん、おいしぃっ!これも美味しいっ。」「うまそうに食うよな、瑠華は」先生は笑いながら言う。「だって本当に美味しいんだよ?先生もワインばっか飲んでないでたべなきゃ!」「よかった。気に入ってもらえて」眼鏡のづれをなおしながら私の目を見て微笑んできた。…反則だ。色っぽ過ぎる…。食事が終わった頃には先生はビールを3本、ワインを1本一人で飲み干していた。先生はもの凄くお酒に強い。顔色一つ変わってない。
「あっ!先生!」「なっ、何?大きな声だして」「ケーキ買ってきたの。さっき勝手に冷蔵庫いれちゃった」「あ〜、そうなの?じゃあ食べよっか?」「うん♪用意するね」と言って私は台所へ行って冷蔵庫をのぞいた。ケーキを探し出して振り返ると先生が小さめのワインボトルを持っていた。
「先生、もう飲んじゃダメだよ!」「誰がこんな甘い酒飲むんだよ」「ん?じゃあ、どして買ったの?」先生はニヤっとしてボトルに口をつけて、私の腕を引っ張っり口付けをした。
「…んっ…。…ゴクッゴク…」一瞬何が起こったのかわからなかった。「どぉ?」先生が意地悪な笑みを浮かべて私を見下ろした。
「先生…。私、未成年なんですケド!」「まぁ、今日は特別ってコトで気にすんな。まだ、余ってんだけど?どぉする?」先生は私の耳元であの色っぽい声で囁いてくる…。私が断れないコトを知って聞いてくる…。
「……。先生、もっと…」「瑠華が言うとエロい…」とニヤついて口付けてきた。
冷たくて甘いお酒が入ってきたら、どちらともなく舌が絡み合う。何度も何度もこの行為の繰り返し。
「まだ、欲しそうな顔してんな。ケド、もう空だぜ?」
私は焦って「そっ、そんなコトない!じ、充分です!」「クスクスッ。そうですか、充分ですか姫は。どぉ、気分は?」「ん?別に何の変わりもナイよ?普通」「まじ?!瑠華、これ甘い割にはすっげーアルコールきついんだぜ?普通なら酔うよ?」「え?!別に甘いだけでそんなお酒っぽくなかったよ?えっ?ん?」「将来、酒飲み決定だな」と先生はどことなく嬉しそうに言った。「私は、先生みたいにガブガブ飲まない!」「はいはい。ケーキを食べましょう姫」「私の話し聞いてないでしょ?!」先生は黙々と準備をしだした。私は放置…。はぐらかされてるっ!くやしぃ!
私がテーブルにケーキを置くとすぐに紅茶がでてきた。先生は普段コーヒーだけど私がコーヒーを飲まないからあわせてくれる。こんなさりげない優しさは反則だ。ますます好きになってしまう。
「このケーキのフルーツうまいな。あっさりしててケーキ自体甘くないし。俺、これ好きだわ」と先生が私を見て言った。「これね、今話題のケーキ屋さんなんだよ?どこかの大手外食産業が本格的なケーキ屋さんを立ち上げてシェフはオーディションで決めたらしいよ。話題性もあるし美味しいしで人気なの♪よかった、気にってもらえて♪」「あ〜、そんな話しあっな」先生は適当に答えた。私はその時、何の気にもとめなかった。
「ん〜、お腹いっぱぁい。洗い物しますね」と言って私は先生の横を通り過ぎようとした。
「っきゃ!…んっ…ぅんっ…」先生はまたいきなり私の腕を引っ張って腰に手をまわして、私が逃げられないようにしてからキスをしてきた。深く、いやらしく舌を絡めてくる。先生のキスはとろけそうになってしまう。
「…んっ…せ、先生ダメ…洗いも……んっ…」私が喋ろうとすると奪うように激しいキスをする先生。「洗い物なんか食洗がするんだし。あとでイイ」そういうと、耳に首に胸元にとキスをふらせる。「っ…先生ぇ…」と私はどこからそんな声がでるのかと疑問に思うほど色っぽい声で先生を求めようとした。すると、先生は私を離した。「風呂入ってこいよ。タイマーいれといたから」私はキョトンとしてしまった。「何?さっき瑠華ダメって言ったじゃん。欲しかったの?」と意地悪な笑みを浮かべて私を見る。
「違う!お、お風呂に行ってきますっ!」私は恥ずかしくて小走りでお風呂場に向かった。
お風呂に入ろうとすると湯舟から甘い花の香りがした。湯舟をのぞくと…
「すごーい!薔薇の花びらがいっぱい!すごいっ!薔薇風呂だっ♪お姫様みたい!きゃー!うれしい」