目には目を 歯には歯を-5
「ほんと?」
「本当」
「じゃあ何でさっき冷たかったの?」
「それはさ、急に佳菜が来ちゃって恥ずかしかったし、こんな姿見られたくなかったし…」
「望ったら」
あたしは望を見てにっこり笑う。望もにっこり笑う。
望はあたしに手を出すように言う。あたしは望を抱き締めて手を望の前に出す。
「目、つぶって」
目をぎゅっとつぶった瞬間、唇に何か柔らかいものが当たった。あたしはビックリして思わず目を開けると、望がニッと笑って言った。
「目には目を、歯には歯を。昨日のお返しだよ」
何か悔しかったから、あたしは望を見つめて言った。
「覚悟、しとけよ?」
目には目を
歯には歯を
やられたのなら
やり返せ
とられたものは
───とり返せ
END
→あとがき