フリースタイル3〜後半〜-1
「俺が最初に2曲歌って、それから実香ちゃんの事を紹介する。そしたら出てきてな」
舞台裏でヒカルくんは恐らく初めて見せるであろうってくらい真面目な顔で言った。
フロアをちらって見るとまだDJタイムでたくさんの人が踊っていた。
こんなにいっぱいいる前であたし歌うんだなぁ。
なんだか実感がない。
横を見るとヒカルくんが声だしをしている。
「さぁて、DJタイムはここまで!お次は一部ショウケースだぜ!」
MCの人がそう言うと音が止んだ。
みんなステージに注目している。
「最初を飾ってくれるのはコイツ!SINGERヒカルー!!」
ヒカルくんは紹介されるとステージへと飛び出した。
それと同時に曲がかかる。
「みんな、こんばんはぁ!まず最初にこの曲聞いて下さい。……sweetdream」
sweetdream、
甘い夢。
そのタイトル通りヒカルくんの声は甘くて優しい声をしていた。
僕の夢を叶えるために
君の夢が叶わないならば
僕は諦めてもいいよ
僕の夢が叶わなくて
君の夢が叶うなら
僕はそれでもいいよ
だって君が頑張っている事を知っているから
だけど君があまりにも一生懸命泣くから
それじゃダメなんだって怒るから
答えは1つしか浮かばない
2人が一緒にいられる事は甘い夢でしかないのかな
お互いの事を考えすぎてお互い駄目になっていく
さよなら
sweetdream
ヒカルくんが高らかに歌ったその歌はとても悲しい歌だった。