フリースタイル3〜後半〜-3
「それでは聞いて下さい。……星に願いを」
この歌はあたしが人前で初めて歌った歌でもある。
その時もさっきみたいにすごく緊張して手が震えてたっけ。
本当に運命を感じる歌だ。
あたしが初めてステージで歌ったのは中学の文化祭だった。
この曲を習い始めたばっかのギターでアレンジしたんだっけ。
懐かしいな。
あの頃の気持ちと今のあたしがシンクロする。
あの時も最前列にいた友達があたしの名前叫んで励ましてくれたんだ。
あたしは緊張して声が出なくなっちゃって、でも友達が客席から一緒にこの歌を歌ってくれたんだ。
あたしの歌を聞いてくれる人がいる。
それだけであたしは歌える。
その時あたしは泣きながらそう思った。
「サンキュー♪」
歌が終わると同時にヒカルくんは小さく言った。
あたしは少し泣きそうだった。
だってすごく気持ち良く歌えたんだもん。
「みんなぁ、聞いてくれてほんまありがとお」
そう言ってステージを去るヒカルくんにあたしは黙ってついて行った。
「無茶なお願いしてごめんなー。歌ってくれてほんまありがとぉな」
ステージ裏でヒカルくんはあたしをハグしながら言った。
「いえ。すごく楽しかったです」
あたしは笑顔でそう答えた。