フリースタイル3〜後半〜-2
あたしはもうすぐ自分の番だって事を忘れてしまうぐらい聞き入ってしまって、ヒカルくんに紹介された時にやっと我にかえりおかげでひどく混乱してしまった。
「聞いてくれてありがとうな。次の曲はめっちゃ可愛い女の子と歌うからみんなチェキやで!俺もつい最近知り合ったばかりなんやけどな。」
ヒカルくんは笑いながら言うとちらっとあたしの方を見た。
あたしは近くにあったマイクをもち、ヒカルくんに向かって頷いた。
「準備ができたみたいやから登場してもらおか。SINGERミカー!come on!!」
あたしは早足でステージへ出る。
そこにはすごい数の人がいてみんなあたしを見ている。
はっきり言ってあたしはすごいパニクった。
頭が真っ白になってちゃんと歌えるか不安だった。
マイクを持っている手は震えて今にも泣きそう…
「実香ー!!」
遠くで沙織の声がした。
見てみると沙織が手をふってあたしの名前を呼んでいる。
横には恭介がいた。
クチパクで何か言っている。
『リラックス』
あ、
歌える。
何故かは分かんないけど、2人を見たら不思議とそう思った。
「実は2人で歌うの初めてなんや。だから、まぁ、優しい目で見たって下さい」
ヒカルくんは笑って言った。
あたしは大きく深呼吸をした。
うん。震えが止まった。
歌える。