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15cm
【学園物 恋愛小説】

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15cm(前編)-2

「渡辺は目いいの?」

「視力?両目1.5くらいだけど…」

「よかったー!俺あんま後ろの席とかなった事無くて気付かなかったんだけどさ、実は結構目悪いみたい。
黒板の字ぼやけてんだわ。」

そう言って、七瀬は目を細めて黒板を見てる。

「え、だったら今のうちに言って変えてもらいなよ!」

「いや、でも俺この席が良いし!
窓際の後ろの先なんて、昼寝には最高過ぎるじゃん?
だから、渡辺!ノート見して!お願い!」

「…はぁ〜。」

ニカッと笑いながら手を合わせる七瀬に呆れながらも、この席の良さは共感できたので、私に迷惑をかけないことを条件に、ノートを見せてあげることにしたのだった。





「渡辺ー!科学のノート授業中に写しきれなかったから貸してくれない?」

席替えして1週間。
帰りの下駄箱で七瀬に呼び止められるのが、日課となった。

「それだったらもっと早く言ってよ、いつも下駄箱まで追いかけてきて、恥ずかしいじゃん。」

不満げに鞄から出した科学のノートを七瀬に渡す。

「わりぃわりぃ!じゃあ借りてくわ!ありがと!じゃーなー!!」

…ほんと台風みたいな奴。

「遙ー!そんな所で何立ち尽くしてるの?
ね、一緒に帰らない?」

「薫…うん、帰ろっか 。」

学校から駅までの10分ほどの道のりにも慣れてきて、最近は薫と一緒に帰るとき、学校のそばの公園に寄り道してる。
9月の気候は暑すぎず、寒すぎず、ちょうど良い。

「最近、遙は七瀬と良い感じだねぇ?」

ニヤニヤしながら薫が私を見る。

「は?私と七瀬?」

突拍子もなさ過ぎて、食べてたチョコを落としてしまった。

「だって、最近仲良さげじゃない?」

「いや、それは席が近いからじゃん?
それに七瀬って、あぁゆうキャラだし。」

そう、七瀬は隣になるまで気づかなかったけど、かなりガキ!
昼休みの後の授業は必ず 寝てるし、貸したノートには落書きするし、授業中は「暇」とか「眠い」とか書いた紙を投げてくるし、とにかくガキなのだ。

「そーかなぁ、七瀬って何気にもてるんだよ?
バスケ部だし、1年なのにレギュラーなんだって。すごいよね。」

「そうかな。ただのバスケ馬鹿じゃん。
みんな物好きだよね、七瀬がもてるなんてさ。」

「遙にとっては恋愛対象じゃないんだ?
七瀬は遙に気があると思うけどな。」



薫と分かれた後の、帰りの電車の中で、私はさっきの薫の言葉を繰り返し考えていた。


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