秋と春か夏か冬〜番外編00話『始まり』〜-8
「少し前に帰っちゃったわよ。恭介くんが夏輝ちゃんをおぶって帰ってきてくれたの」
僕はショックだった。さよならの言葉も言えず、恭介が行ってしまった。
「そんなぁ…うぅ…ひっく……きょうすけぇ…」
僕は泣いた。でも…
ジャラ
なにかが僕の首で動いた……ネックレスだ。
そうだ…10年後……きょうすけと『さいかい』するんだ!泣いてちゃ…だめ。
「…ママ!ぼく……女優になりたい」
「あらあら♪いきなりどうしたの?」
「きょうすけと『やくそく』したんだ♪それでね、きょうすけの…お嫁さんにしてもらうの♪」
「まぁまぁ♪パパも喜ぶわ♪じゃあ…頑張んないとね♪♪」
「うん!」
それからの毎日は大変だったけど…『やくそく』のおかげで、なんとか頑張ってこれた。
そして16歳になり、ついに来年、ハリウッドの大作に出演が決まった。
僕は役づくりのため、1年間の学校生活をすることになった。
正確には、その間は芸能生活より学校生活を優先するだけだけど…。
前の学校から恭介の学校へと、僕は転校を決めた。
10年たつし、ハリウッドも決まった!これで堂々と恭介に会える♪
中学のとき何回かバスケの記事で見た秋津恭介と言う名前。それを見るたび胸が高鳴り、あの頃の思い出が甦る。そして恭介も頑張ってくれているんだと嬉しくもなった。
でも最近は見なくなっちゃったけど……元気でやってるかな?
――やくそく――
きっと…覚えてくれてるよね?
いま会いに行くから…待っててね!僕の旦那さま♪♪
おしまい。